イーサリアムは強固なセキュリティを持ちながら、取引処理が遅く手数料も高いという課題を抱えています。L2(Layer2)は、その上に構築される拡張レイヤーで、処理をまとめて圧縮し、元のチェーンに書き戻すことで高速化と低コスト化を両立します。
この記事では、なぜL2が必要不可欠なのか、なぜ今資金が集中しているのか、そしてどのプロジェクトが最も注目されているのかを整理します。
目次
まず30秒で:L2が投資テーマになる理由
- 渋滞を解消: 取引を束ねて処理し、ガス代を大幅に削減。
- 経済が循環: 利用が増えるほど手数料が積み上がり、還元が生まれる。
- 採用が急拡大: DeFi・AI・ゲームなど、主要Dappsが次々L2へ移行中。
結論:ブロックチェーンの「第二層経済圏」を形づくるのがL2。取引が増えるほど価値が上がる構造です。
なぜ欠かせないのか(経済的必然性)
イーサリアムは安全ですが、混雑時には1トランザクションあたり数ドルの手数料が発生します。L2はこの問題を解決するため、複数の取引を一括でまとめ、圧縮して本体に書き戻します。結果として、100倍近いスループットと数十分の1の手数料を実現します。
この効率化によって、DeFi・NFT・AIアプリなど、利用が多い分野でもコスト負担を抑えられます。L2は単なる補助技術ではなく、イーサリアム経済の拡張装置です。
今、資金が集まる理由(成長の伝達経路)
L2の経済構造はシンプルです。
利用者が増える → 取引が増える → ガスが流れる → Sequencer(取引集約者)に収益 → トークン価値に伝達。
この“処理=収益”のモデルは、他のインフラ系トークンにはない強みです。2024年以降、OptimismやArbitrumを中心に手数料収益とTVL(預け入れ資産)が安定的に拡大中。BaseやZkSyncも実需が伴う成長を見せています。
つまり、L2は「トランザクションが増えるほど稼ぐ」構造。ブロックチェーンの普及速度と直接連動するテーマです。
主要プレイヤーを3分で整理
Optimism(OP)
方向性:協調型・安定運営。
注目:イーサリアム財団と連携し、公共インフラ的な立ち位置を確立。
Arbitrum(ARB)
方向性:市場最大シェア。
注目:DeFi・RWA系が集まり、TVL・取引量ともにトップ。
Base
方向性:企業接続型。
注目:Coinbase主導。法令順守とUX最適化で新規層を呼び込む。
ZkSync(ZK)
方向性:ZK圧縮型。
注目:ゼロ知識証明を活用し、高速・安全なロールアップを実装。
Starknet(STRK)
方向性:ZK先駆型。
注目:高計算処理に強く、AI・オンチェーンゲームに展開中。
気になる銘柄があれば、個別分析へどうぞ。
→ OPの分析を見る / ARBの分析を見る / ZkSyncの分析を見る
伸びるシナリオと注意点
シナリオ: DeFi・AI・RWA・ゲームがL2上で稼働し、トランザクション量が爆発的に増加。イーサリアムの価値を押し上げながらL2も同時成長。
注意点: 手数料競争と中央集権化のリスク。Sequencer(取引集約者)が一部運営主体に偏ることで、報酬の集中が懸念されます。
- 各L2が分散Sequencerを実装できるかが鍵。
- ZK系は技術更新速度が速く、競合淘汰リスクも高い。
- ガス再分配モデルの持続性(還元率)を比較することが重要。
まとめと次の一歩
L2は、ブロックチェーンを実用化へ導く“高速経済レイヤー”です。トランザクションが増えるほど収益が積み上がる、極めて明確な経済構造を持ちます。
次は、それぞれのL2がどのようにスケーリングを実現し、どんな報酬・還元モデルを採用しているのかを掘り下げてみましょう。



