暗号資産の世界では、価格が上がったか下がったかに意識が引っ張られやすく、「勢いがあるように見えるだけのプロジェクト」と「時間をかけて経済圏を育てているプロジェクト」を区別するのが難しくなりがちです。そんなとき、落ち着いて生命反応を確かめるためのシンプルな指標が、プロトコルやチェーンに預けられている資産の総額──TVL(Total Value Locked)です。チャートでは見えない「資金がどれだけ残っているか」を示してくれるため、プロジェクトの温度を測る体温計のように使えます。
この記事では、TVLの基礎的な意味だけではなく、実際に投資判断でどう役立つかを整理していきます。レンディング、L2、DePIN、AI × BlockchainといったセクターごとにTVLの読み方がどう変わるのか。価格との組み合わせから危険度をどう判断するのか。そして、深い押しを待って狙い撃つハイエナ戦略にTVLをどう組み込むのか。これらをひとつのストーリーとしてつなぎ、チャートだけでは気づけない視点を補うことを目指します。
記事の後半には、CryptoDepth独自のTVLボードも用意し、「どこに資金が集まっているのか」を日々チェックできる計器として活用できるようにしています。TVLを、ただの数字ではなく「判断を整える道具」として使うためのガイドとして読んでみてください。
なぜ今あらためてTVLを見るのか
価格だけでは判断できない局面が増えている
暗号資産市場が成熟するにつれて、価格チャートだけでは本質が見えにくい局面が増えてきました。エアドロップやポイント施策に短期資金が集まると、価格だけを見ると「強い上昇トレンド」に見えてしまいます。しかし、インセンティブが切れた瞬間に資金が一気に抜け、「ただのキャンペーン中だっただけ」というケースは珍しくありません。
TVLを見ると“資金の粘り”が分かる
こうした環境では、「このプロジェクトにどれくらいの資金が、どれくらいの期間とどまっているのか」を示すTVLを確認すると、見える景色が変わります。短期ニュースで跳ねただけの銘柄と、地味でもTVLを着実に積み上げている銘柄を切り分けやすくなるからです。価格と違い、資金の“粘り”を見ることで、そのプロジェクトがまだ息をしているかどうかを落ち着いて判断できます。
TVLは万能ではないが“生命反応”は確かに見える
もちろんTVLは万能ではありません。インセンティブで一時的に膨らんでいる場合もあれば、そもそもTVLに反映されにくいタイプのプロジェクトもあります。それでも、「この中にまだお金が残っているのか?」という最低限の生存確認としては非常に優秀です。価格が荒れているときほど、TVLは“酸素モニター”のように機能します。
CryptoDepthはTVLを“補助線”として使う
CryptoDepthでは、TVLを「これさえ見ればOK」という魔法の数字として扱うつもりはありません。むしろ、価格・出来高・採用状況・トークン設計と組み合わせるためのひとつの補助線と考えています。そのうえで、自分の戦略──たとえばハイエナ戦略──にどう組み込むかまで落とし込むことを目指しています。
TVLとは何か:ざっくり定義と基本の読み方
TVLの意味を投資家目線で捉え直す
TVL(Total Value Locked)は、教科書的には「プロトコルやチェーンにロックされている資産の合計」と説明されます。ただ、それだけだと少し物足りません。投資家として見るときは、TVLを「そのプロジェクトの中にどれくらいの資産が預けっぱなしになっているか」を示す数字として捉えると、理解しやすくなります。
レンディングなら「どれだけの資産が預けられ、担保としてロックされているか」。L2なら「そのチェーン上にブリッジされ、滞在している資産はどれくらいか」。こうした視点で見ると、TVLは単なる数字ではなく、そのプロジェクトに対する信頼・利便性・利回りのバランスの結果として決まる“反応値”のようなものとして読めるようになります。
単純な「預け入れ総額」ではない理由
インセンティブで一時的に膨らんでいる可能性
高い利回りやエアドロップを目的に、短期の資金が一気に流入すると、TVLだけを見ると「急成長しているように見える」ことがあります。しかし、インセンティブが終わればTVLはスッとしぼむため、実態はキャンペーン待ちの資金だったというケースも珍しくありません。
ブリッジ経由で二重にカウントされることがある
L2やマルチチェーン対応プロトコルでは、同じ原資が複数の場所でTVLに計上されることがあります。例えば、L1でステークされたETHがLSTとして別のプロトコルに入り、さらに別チェーンで担保に使われると、見かけ上のTVLは実際より大きく膨らんで見える場合があります。
プロジェクトの性質によって「TVLの意味」が違う
レンディングやステーブルコインのように、TVLがそのまま信頼や利用度につながる領域もあれば、実ユースは強いのにTVLには反映されにくい領域もあります。この違いを理解しないままランキングだけで判断すると、評価を誤りやすくなります。
つまりTVLは「多ければ正義、少なければダメ」という単純な数字ではなく、「このタイプのプロジェクトにとって、この規模のTVLは自然か」を考える必要があります。そのために、このあと登場するセクター別の読み方が重要になります。
TVLを見るときの3つの基本視点
TVLを投資判断に組み込むとき、最初から細かい指標を追う必要はありません。次の3つの視点を押さえるだけでも、数字の見え方が大きく変わります。
絶対値:どのくらいの規模の資金がロックされているか
数百万ドルなのか、数十億ドルなのか、あるいは数百億ドル級なのか。絶対値は、そのプロジェクトが持つ経済圏の大きさをざっくり想像するための材料になります。ただし「大きい=安全」「小さい=危険」という単純な話ではありません。
推移:時間とともにどう変化しているか
右肩上がりなのか、横ばいなのか、右肩下がりなのか。短期のノイズよりも、中期〜長期のトレンドとして資金が流入し続けているか/静かに抜けているかを見ることがヒントになります。
ピーク比:過去の最高値からどれくらい残っているか
バブル期だけ跳ねたあと戻らないプロジェクトもあれば、調整後にTVLがじわじわ回復しているプロジェクトもあります。「ピーク比で何%残っているか」を見るだけでも、そのプロジェクトが市場からどれだけ支持され続けているかが分かります。
まずは、「今のTVL」「最近の増減」「ピークの何割が残っているか」の3点を押さえるだけでも、価格だけでは見えない輪郭がはっきりしてきます。これが後半のセクター別比較や、価格との組み合わせ(4象限)を読む土台になります。
セクター別に「TVLの意味」がどう変わるか
同じTVLという数字でも、そのプロジェクトが属しているセクターによって、意味合いは大きく変わります。レンディング、L2、DePIN、AI × Blockchain──どの領域にあるかによって、「TVLが大きい」「TVLが増えている」の解釈はまったく異なります。ここでは投資家目線で、その違いを整理します。
レンディング・ステーブル系:預け先としての信頼がにじむ
Aaveのようなレンディングや、ステーブルコインの裏側で担保資産を預かるプロトコルでは、TVLは比較的わかりやすい指標です。多くの場合、TVLは「どれだけの資産が預け先として選ばれているか」を示しており、規模そのものが信頼・利便性の評価につながります。
利用者は、自分の資産を預ける代わりに利息やインセンティブを受け取りますが、その一方でスマートコントラクトのリスクも抱えています。それでも資産を預け続けている人が多いということは、「ここなら一定の安心感がある」と考えるユーザーがしっかり存在している、という裏付けになります。
注意点:インセンティブで一時的に膨らむ場合がある
極端に高い利回りが出ているときは、短期のファーミング目的でTVLが急増している可能性があります。この場合、インセンティブ終了と同時にTVLが急減することもあり、数字だけでは“実態より良く見える”こともあります。
注意点:担保ロックの性質ゆえのリスク
レンディングは担保としてロックされる資産が多く、清算リスクやオラクル不具合など、TVLからは見えないリスクも存在します。「TVLが大きい=絶対安全」ではありません。むしろ“長く選ばれているかどうか”の推移を見るくらいの距離感がちょうどよいです。
L2・ロールアップ系:経済活動がどれくらい移っているか
Ethereum L2やロールアップなどでは、TVLは「どれだけの資産がそのチェーンにブリッジされ、滞在しているか」の目安になります。ここでは、TVLは預金額ではなく、チェーン上の経済活動のボリュームをざっくり測る指標として機能します。
注意点:エアドロップ期待・インセンティブの影響が強い
L2のTVLは、短期キャンペーンで急増することが多く、これだけでは「実際のユーザーが増えたのか」「エアドロップを取りに来た資金が滞在しているだけなのか」を判別できません。後者の場合、キャンペーン終了後にTVLが急減する例は少なくありません。
組み合わせが重要:他のデータとセットで読む
L2では、TVLだけで強さを判断するのは危険です。トランザクション数、アクティブアドレス数、手数料収入などと組み合わせて、「資金だけでなく人も増えているのか」を見ていくことが重要になります。
DePIN / AI × Blockchain:TVLだけでは掴みきれない現場感
分散GPUネットワーク、ストレージ、AI × Blockchainといった新興セクターでは、TVLと実ユースが必ずしも一対一で対応しません。ここでは、TVLはそのプロジェクトの“経済圏に張り付いている資産”を示す一要素に過ぎません。
ユースケースの強さはTVLだけでは測れない
たとえばGPUやストレージ提供型のプロジェクトでは、「どれだけのリソースが提供されているか」「どれだけの推論・保存リクエストが処理されているか」といった実需が核心となります。TVLはその一部しか写しません。
成長の初期フェーズはTVLが小さくても問題ない
AI系やDePIN系では、TVLが大きくなくても、実ユースが静かに伸びているケースが多くあります。そのため、絶対値を見て切り捨てるのではなく、「時間をかけて増加する傾向があるか」を確認する使い方が適しています。
このセクターでは、TVLの規模そのものよりも、増減のスピードや他セクターとの相対比較が重要です。「どのテーマに資金が移りつつあるのか」を俯瞰しながら、TVLの粗さを補いつつ読み解くのがコツです。
TVLと価格の組み合わせでざっくり危険度を読む
ここまでTVLそのものの意味と、セクターごとの違いを整理してきました。次は、TVLと価格を組み合わせて「今このプロジェクトはどの象限にいるか?」をざっくり読む方法をまとめます。完璧なモデルを作る必要はなく、まずは「価格(上がっている/下がっている)」と「TVL(増えている/減っている)」の4象限をイメージできれば十分です。
実務としては、チャートとTVLグラフを横に並べ、「どの象限にいるか」を軽く確認するだけでも、飛びつきや高値づかみをかなり避けられます。
価格↑ × TVL↑:素直な成長トレンド
価格もTVLも右肩上がりの象限は、もっとも分かりやすい成長トレンドです。新プロダクトや大型アップデート、エコシステム拡大などで魅力が増し、資金と評価が同時に集まっている状態と言えます。
ただし「インセンティブの影響」は必ず確認する
報酬キャンペーンによってTVLが一時的にブーストされているだけの場合、「キャンペーン終了 → TVLだけ先に下落 → 価格が後追いで調整」のパターンもあります。勢いが出ているときこそ、「なぜ資金が集まっているのか」を一文で説明できるようにしておくと、判断がぶれにくくなります。
価格↑ × TVL→/↓:短期バブルやニュース駆動の疑い
価格だけが上がり、TVLが横ばい〜減少しているケースは、短期的な期待やニュースで買いが先行しているだけの可能性があります。資金が実際には増えていないのに、トークン価格だけが跳ねている状態です。
この象限は「一番つかみたくないゾーン」
ハイエナ戦略的には深い押し候補にもなり得ますが、同時に高値づかみのリスクが最大のポイントでもあります。TVLがついてきていない場合、「売り抜けたい側が価格だけを維持しているのでは?」と疑ってよい場面です。
深追いよりも「観察と待機」が有効
この象限で無理に乗るより、「なぜTVLが増えていないのか」を観察し、構造的な調整や深い押しを待つ方が合理的です。
価格↓ × TVL→/↑:長期ホルダーがまだ残っている可能性
価格が下落していても、TVLが崩れていない、あるいは微増しているケースでは、「短期の売り圧はあるが、長期預け入れ勢がまだ残っている」可能性があります。特にレンディングやステーブル系ではよく見られる象限です。
ただし「買い場」とは限らない
規制リスク、方向性の変化、プロダクトの停滞など、TVLでは見えない要因で売られているパターンもあります。TVLが残っていることは安心材料のひとつですが、自動的に逆張りシグナルではない点は押さえておく必要があります。
価格↓ × TVL↓:撤退戦か、終戦かを見極めるゾーン
価格もTVLも下落している象限は、もっとも警戒が必要です。プロジェクトから「人もお金も同時に抜けている」状態であり、一時的な調整というより、「長期トレンドの終わり」や「信頼の崩壊」を示していることがあります。
割安に見えても最も危険な象限
この状態を「安いから」という理由で拾うのはバリュートラップに陥りやすい行動です。特にピークから長期間TVLがじわじわ減り続けている銘柄は、市場全体が成長していても「このプロジェクトだけが忘れられている」可能性があります。
ただし“セクター丸ごと下落”の場合は別の読み方が必要
市場全体のクラッシュでセクター全体が「価格↓ × TVL↓」になることもあります。その場合は、個別ではなくセクター内比較で「どこが最初にTVLを取り戻しているか」を見ると、次の循環で強く戻る銘柄を探しやすくなります。
この4象限はあくまで“ざっくりとした地図”ですが、「今どこにいるか」を一瞬で把握できるだけでも、感情に左右されにくい投資判断に近づきます。次のセクションでは、TVLを見るときに陥りやすい落とし穴と、フェイクシグナルの見抜き方を整理していきます。
TVLを見るときの落とし穴とフェイクシグナル
TVLは便利な指標ですが、そのまま鵜呑みにすると判断を誤らせるフェイクシグナルにもなり得ます。ここでは、特に意識しておきたい落とし穴を整理します。
インセンティブで一時的に膨らんだTVL
もっとも分かりやすい落とし穴が“報酬で一時的に膨らんだTVL”です。高い利回りやポイント還元、エアドロップ対象になると、短期志向の資金が一気に集まり、キャンペーン終了と同時に抜けていくことがあります。
グラフ上はTVLが急増するため、「急成長プロジェクト」のように見えますが、実態としては利回りだけを追いかける資金が滞在しているだけのケースもあります。特にAPYが極端に高いときは、報酬条件やロック期間などの設計を一度は確認するのがおすすめです。
見極めのポイント
インセンティブが終わったあとも資金が残りそうか──この点を自分に問いかけるだけでも、TVLの“実質”を読む精度は大きく変わります。
ブリッジ・リステーキングによる二重カウント
もう一つの分かりづらい罠が、同じ原資が複数の場所でTVLとしてカウントされる二重カウント問題です。
たとえば、ETHをL1でステークし、そのLSTを別プロトコルに預け、さらに別チェーンへブリッジして担保に使えば、1ETHが複数箇所でTVLに計上されます。その結果、エコシステム全体のTVLが実際の原資より大きく見えるケースが発生します。
どう向き合うか
個人投資家が完全に把握するのは難しいため、「TVLランキング上位=新規資金が大量に入った」とは限らない前提を持っておくことが重要です。同じLSTが複数プロトコルに登場する場合は特に注意が必要です。
データソースによる差と“数字精度”の限界
TVLはオンチェーン情報から算出されますが、集計方法はプラットフォームごとに微妙に異なります。あるサイトでは対応しているプロトコルが、別のサイトでは含まれていない、というケースもあります。
そのため、TVLの数字を「絶対値」ではなく「近似値」くらいに捉えるのが現実的です。重要なのは小数点以下ではなく、桁(規模)とトレンド(増えている/減っている)です。
CryptoDepthでも、どのデータソースを基準にしているかを明示しつつ、「数字そのもの」よりも「そこから読み取れるストーリー」を重視します。
「TVLが低い=終わっている」と決めつける危険
最後の落とし穴は、TVLが小さいからといって「ダメなプロジェクト」と切り捨てることです。特に新興セクターや初期フェーズでは、TVLが小さくても実ユースが着実に伸びているケースが多々あります。
重要なのは“フェーズに対して自然かどうか”
メインネット直後か、成熟期か、競合と比べてどの位置か──この文脈を無視してTVLだけで判断すると、まだ伸び始めたばかりの成長の芽を見落とすことにつながります。
逆に、TVLは「成熟度の目安」にはなりますが、「技術的なポテンシャル」や「将来の成長力」までは教えてくれません。他の要素と組み合わせて、一つのレイヤーとして扱う距離感が安全です。
CryptoDepth式「TVLウォッチボード」の使い方
ここからは、TVLを日々のウォッチに組み込むための“道具としての使い方”を整理します。このページの下部には、レンディング、AI × Blockchain、DePINなど主要セクターのプロジェクトをまとめたTVLウォッチボードを表示する想定です。
目的は「数字サイトを作ること」ではなく、自分の投資戦略を支える計器を持つことです。ここでは、そのウォッチボードをどんな観点で眺めると役立つかをまとめます。
※2025-11-20 時点。TVLは主に CoinGecko / DeFiLlama 公開データをもとにした概算値、 7日比は各種価格サイトの 7d 変化率です。
| プロジェクト | セクター | TVL(USD) | 7日比 |
|---|---|---|---|
| Aave | Lending | $31.91 B | -17.5% |
| MakerDAO(MKR/SKY) | Lending / Stablecoin | $5.73 B | -12.8% |
| Uniswap | DEX | $4.31 B | -7.4% |
| Lido DAO | Liquid Staking | $26.25 B | -13.1% |
セクター別に“ざっくり勢力図”をつかむ
ウォッチボードでは、プロジェクトをセクターごとにざっくり分けて表示します。例えば次のような分類です。
- レンディング・ステーブル:Aave、Maker など
- AI × Blockchain:Bittensor、Oraichain、Fetch.ai など
- DePIN(分散GPU・ストレージ):Akash、Render Network など
“どこに資金が集まっているか”を見る
同じカテゴリーの中で「どこに資金が最も集まっているか」「どこがじわじわ伸びているか」を眺めると、セクター内の勢力図がつかめます。数字の細かな差よりも、この半年で「どの名前がよく目につくようになったか」という変化が重要です。
毎日チェックするなら、何を見るか
ウォッチボードを日々のルーティンに組み込む場合、すべてを細かく追う必要はありません。見るべきは“違和感のある動き”です。
違和感の例
- 特定のプロジェクトだけTVLが急増・急減していないか
- セクター全体が落ち込む中で、踏ん張っている銘柄はどれか
- ニュースや価格の動きとTVLが一致している/ずれているか
たとえば、自分のウォッチ銘柄のうち1つだけTVLが急減しているなら、理由を調べるきっかけになりますし、セクター全体が落ち込んでいるだけなら、個別問題か市場全体の波かを切り分けられます。
「数字を見たあとに何をするか」を決めておく
TVLウォッチボードは、見て終わりではありません。「見たあとにどう動くか」とセットにすることで、投資の精度が上がります。
行動ルールの例
- TVLが急増したプロジェクトは、「なぜ増えたのか」を公式発表やニュースで5分だけ調べる
- 自分の保有銘柄のTVLがピーク比◯%を割ったら、ポジションサイズを見直す
- セクター全体が落ちているときは、新規の大きなポジションは見送る
こうしたルールは人によって違いますが、共通点は「TVLを感情ではなく、行動のトリガーにする」という発想です。CryptoDepthのTVLボードは、そのトリガーを手元に置くためのシンプルな計器として設計しています。
ハイエナ戦略にTVLをどう組み込むか
最後に、このブログ全体の文脈でもある「深い押しを待って刺しに行く」ハイエナ戦略と、TVLをどう組み合わせるかを整理します。ここでは、価格チャートだけに頼らず、TVLを“酸素チェック”として使うイメージを持ってもらえれば十分です。
深い下ヒゲが来たときに確認したいこと
ハイエナ戦略の核心は、「深い押しを予測しない。来たときに受ける場所を先に決めておく」という姿勢です。ただ、実際に深い押しが来た瞬間はニュースやSNSの情報が急増し、冷静な判断が難しくなります。
そこで役立つのがTVLです。価格が急落したときに「TVLはどれくらい崩れているか」を確認すると、その下落が
- 市場全体のパニックによる一時的な売りなのか
- プロジェクト独自の致命的問題による撤退なのか
を切り分けるヒントになります。特に、セクター全体が落ちている中でそのプロジェクトだけTVLが極端に崩れている場合は、単なる「深い押し」ではなく、構造的な終わりの可能性を疑う局面かもしれません。
エントリー前の「酸素チェック」としてのTVL
エントリーの直前に、チャートや出来高、ニュースと並べて、「今、TVLはどの象限にいるか」をざっくり確認する習慣をつけると、無駄なトレードを減らしやすくなります。
象限ごとの“問い直しポイント”
- 価格↓ × TVL→/↑:短期の売り圧の中でも資金が残っている可能性。反発シナリオを検討する価値あり。
- 価格↑ × TVL→/↓:ニュースだけで買いが先行していないか、一度冷静に疑う。
- 価格↓ × TVL↓:そもそもこの銘柄でリスクを取る価値があるか、一歩引いて考える。
TVLは「入る・入らない」を直接決めてくれる魔法の数字ではありませんが、「今ここで本当にリスクを取りたいのか?」と自分に問い直すためのチェックリストとしてとても有効です。
長期で付き合う候補を選ぶときのTVLの使い方
ハイエナ戦略は暴落時のエントリーだけでなく、「どの銘柄を長期で持つか」の選別にも相性が良いスタイルです。ここで、TVLは“時間をかけて経済圏を育ててきたか”を見るためのシンプルな指標として役立ちます。
TVLが教えてくれること
- ピークから大きく調整していても、数年単位では高い水準で安定しているプロジェクト
- バブル期のピークからTVLが戻らないまま、テーマごと乗り換えられているプロジェクト
両者を比べるだけでも、「長期で付き合うならどちらか」の判断は大きく変わります。
もちろん、TVLも価格も「過去と現在」を映すだけで、未来のリターンを保証してくれるわけではありません。それでも、チャートとTVLを両方見たうえで決めたポジションの方が、感情だけで飛びついたポジションより納得感のある判断になりやすいのは確かです。
このページで整理した考え方と、CryptoDepthのTVLウォッチボードを組み合わせることで、「深い押しが来たときにどう動くか」「どの銘柄と長く付き合うか」を、自分の言葉で説明できる投資家を目指していきましょう。





