ブロックチェーンが次に触れる領域は「現実の資産」です。株式・債券・不動産・金など、これまで伝統金融の枠にあった資産をトークン化し、ブロックチェーン上で扱えるようにする──それがRWA(Real World Asset)です。
この記事では、RWAがなぜ注目されているのか、なぜブロックチェーン経済の中核になるのか、そしてどんな銘柄が成長の中心にあるのかを整理します。
目次
まず30秒で:RWAが投資テーマになる理由
- 巨大な市場: 現実資産は世界で数千兆円規模。オンチェーン化の余地が膨大。
- 収益の裏付け: トークンの背後に実際のキャッシュフローがある。
- 政策追い風: 米国・シンガポールなど主要国が制度整備を開始。
結論:ブロックチェーンが金融の“表舞台”に出る起点がRWAです。
なぜ欠かせないのか(経済的必然性)
これまでの暗号資産は、ブロックチェーン内で閉じた価値交換にとどまっていました。RWAは、実世界の資産をデジタル化し、流動性・透明性・24時間取引を可能にする仕組みです。
たとえば、国債や不動産を担保にしてステーブルコインを発行したり、企業債権をトークン化して個人投資家に分配したりと、従来の金融をスマートコントラクト上に“再構築”できます。
結果として、ブロックチェーンが現実経済と直接つながる。これはDeFiにとって、仮想世界を超えて本物の信用市場を取り込む転換点です。
今、資金が集まる理由(成長の伝達経路)
RWAの投資テーマとしての魅力は、「資産→利回り→手数料→トークン価値」の流れが明確な点にあります。
国債や社債などの実物資産をオンチェーン化し、それを基に利回り型トークンや担保ローンを提供する──この過程すべてで手数料と運用報酬が発生します。
さらに、金利上昇局面では安全資産への需要が高まり、DeFiが「現実資産で運用できる場」として再評価される構図です。特にOndoやCentrifugeは、米国債や社債をオンチェーンで流通させ、機関投資家の資金流入を引き寄せています。
主要プレイヤーを3分で整理
Ondo Finance(ONDO)
方向性:国債・社債トークン化の実用派。
注目:米国債を基盤に安定利回り型トークンを提供。Coinbaseなど大手と提携。
Centrifuge(CFG)
方向性:企業債権のトークン化。
注目:実際の請求書債権をDeFi担保に転用。MakerDAOとの連携で注目。
Maple Finance(MPL)
方向性:信用貸付型RWA。
注目:企業向けローンをトークン化し、収益配分をスマートコントラクト化。
Realio Network(RIO)
方向性:不動産+セキュリティトークン。
注目:規制準拠を重視し、現実資産をデジタル証券として管理。
Chainlink(LINK)
方向性:データ連携の基盤支援。
注目:RWAの価格・担保情報を安全に接続するインフラ層として不可欠。
RWAは単一銘柄よりも“複数の役割”が連動して成長します。実物資産の保管、評価、価格連携、それを支えるインフラまで全てがエコシステムで動きます。
→ Ondoの分析を見る / Centrifugeの分析を見る / Mapleの分析を見る
伸びるシナリオと注意点
シナリオ: 金利市場・債券市場のデジタル化が進むと、RWA銘柄はDeFiの“裏方”として安定収益を積み上げます。AIやオラクル技術との連携で透明性が高まり、機関投資家が参入しやすくなります。
注意点: 法規制の整備遅れや、トークンと原資産の乖離リスクは依然として残ります。資産の保管・評価を担う仲介層の信頼性も重要です。
- 国や地域ごとのライセンス整備が進むかを注視。
- トークンと現実資産の照合メカニズムを確認。
- 分散構造(データ提供・監査・保管)を持つ銘柄を選ぶ。
まとめと次の一歩
RWAは「仮想資産から現実金融へ」を具現化するテーマです。現実のキャッシュフローが裏付けられ、金利収益という確かな基盤が存在します。
次は、それぞれのプロジェクトがどんな資産を扱い、どんな収益モデルを構築しているかを見ていきましょう。



