Solanaをどう評価するか──“主力ソフトがどこまで集まるか”で決まるL1の未来

CryptoDepth 編集部
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2025.09.06
13分
Solanaをどう評価するか──“主力ソフトがどこまで集まるか”で決まるL1の未来

Solana(SOL)の将来は、もはや「チェーン性能」で語れる段階ではありません。
どれだけ高速でも、どれだけ手数料が安くても、それだけで評価が動く時代は終わりました。
今Solanaを左右しているのは──その上で本命アプリ(=主力ソフト)が揃うかどうか、ただそれだけです。

近ごろ、この“ソフト側”で明確な変化が起きています。
Jupiter・Jito・USDC決済のような日常的に使われるアプリが増え、
さらに Render(分散GPU)や Helium(無線インフラ)といった実需系プロジェクトが、
「Solanaでも動く」選択肢を取り始めています。

これは、ゲーム機に“人気タイトル”が増えていくようなものです。
Solanaは高速な“ハード”として以前から評価されてきましたが、
いま本当に重要なのは──どんなタイトルが集まり、それが資金とユーザーを呼び込めるかという点です。

本記事では、Solanaを「ハード」、DeFi・USDC・Helium・Render を「ソフト」として整理しながら、
Solanaが伸びる/失速するシナリオ、そしてL1インフラとしてどう向き合うべきかを投資家視点で解きほぐしていきます。

Solanaを評価するとき、見るべき軸は「性能」ではなく「主力アプリ」

高速・低手数料はSolanaの“前提条件”に過ぎない

Solanaと聞くと、まず「高速・低コスト」という言葉が浮かびます。 確かにこれはSolanaの強みですが、L1が成熟してきた現在では差別化要因ではなく前提条件です。 Ethereum L2や他の高性能チェーンも順当に性能を伸ばしており、 “性能が高いからSolanaを使う”という評価軸は弱まりつつあります。

では何で評価されるのか。 それが次のポイントです。

Solanaの価値は「何が動くか」で決まるフェーズに入った

Solanaの本質的な評価軸は、いま完全に「どんなアプリが動いているか(=主力ソフト)」に移っています。 L1同士の性能比較ではなく、ユーザーが実際にどのアプリを使うかで勢力図が決まる段階に入ったということです。

これは、単なる“エコシステムの広さ”の話ではありません。 ポイントは、毎日使われるアプリが存在するか、その利用が相場と無関係に続くかという点です。 もう「速くて安いチェーン」では投資判断の軸になりません。

プレステで言えば、価値を決めるのは“ハード”ではなく“タイトルの質”

直感的に説明するなら、Solanaはいま「性能の良いゲーム機」から、 「人気タイトルが揃っているプラットフォーム」かどうかが問われるフェーズに移行しています。

どれだけ高性能なゲーム機でも、遊ぶソフトがなければ価値は出ません。 一方で、魅力的な主力タイトルが集まれば、そのゲーム機自体が評価されます。 Solanaもまったく同じ構造で動いています。

だからこそ、Solanaを見るときに最初に確認すべきは、 「性能」ではなく「主力アプリのラインナップ」です。 次のセクションでは、その主力ソフトがどの領域に存在し、何がSolanaの価値を押し上げ得るのかを整理していきます。

Solanaの強さは“ソフト側”に現れ始めている

Solanaの価値を決めるのは、ハードの性能ではなく「そこで何が使われているか」です。ここからは、Solanaの現在地を形づくっている主力ソフトを整理します。

DeFiが“遊び場”から“基盤”へ変わったのが今のSolana

SolanaのDeFiは、かつては「高速だが使われない」状態に近かったです。しかし現在は、Jupiter(DEXアグリゲータ)と Jito(MEVリワード)が“毎日使われる基盤アプリ”として定着し始めています。

JupiterはSolana内の流動性を束ね、常に最適なスワップを提供する導線を担います。Jitoはステーキング報酬+MEVリワードを提供し、「Solanaを保有しておく理由」を強くします。

ETHで言えば「Uniswap+Lido」に相当する存在です。これらのDeFi基盤が整ったことで、Solanaは“遊び場のチェーン”から“資金が滞在しやすいチェーン”に変わりつつあります。

USDCは“Solana first”の時代に入りつつある

USDCの主要発行元であるCircleは、いま最も重視するチェーンとしてSolanaを明言しています。理由は明確で、Solanaは送金が速く、手数料がほぼゼロに近く、決済用途で詰まりにくいからです。

特にフリーランス報酬やB2B送金など、「確実・即時・低コスト」が要求される領域では、“まずSolanaのUSDCで払う”という判断が自然に起き始めています。

日常的な送金が流れ込むチェーンは強いです。Solanaはすでに“決済チェーンとしてのシェア”を取り始めている段階に入っています。

Heliumの移行は“Solanaがリアルインフラを抱えた瞬間”

無線通信インフラをトークンで運用するHeliumは、Ethereum → Solanaへとネットワーク全体を移行した稀有なプロジェクトです。これは単なる技術選択ではなく、「リアルなデバイス数を抱えるインフラ用途でSolanaが最適だった」ことを示す象徴的な事例です。

世界中に100万台以上あるHeliumデバイスは、通信利用データを頻繁に書き込みます。その処理負荷に耐えられるL1は現状ほぼSolanaのみです。Solanaは“重たいユースケースを受け止めるチェーン”として、実需面の評価が一段上がりました。

AI × GPUはSolanaの高速性を最も活かす分野

AI × GPU の分散レンダリングを担うRenderは、もともとEthereumを基盤としつつ、Solanaにも処理の一部を寄せる形で対応を進めています。高頻度での書き込みが前提となるAIジョブでは、Solanaのスピードと手数料の低さが非常に相性が良いです。

RenderはAI × ブロックチェーン領域の看板タイトルであり、そのRenderがSolanaをワークロードの一部に採用している事実は、SolanaがAI分野での存在感を高める大きなサインです。

これらを総合すると、Solanaは「高速なチェーン」という枠を超え、“主力ソフトが集まるハブ”へと変化し始めています。

Solanaは今、“主力ソフトを連続で引き寄せられるか”の分岐点に立っている

Solanaの将来性を左右する最大のポイントは、これから数年でどれだけ「主力タイトル級のプロジェクト」がSolana版を出すかという点です。ハードとしての性能がどれだけ高くても、実需を生むソフトが揃わなければ評価は伸びません。

では、すでにどんな変化が起きているのかを見ていきます。

1)すでに「第1波」のタイトルは動いている

分散GPUの Render、通信インフラの Helium、高速決済の USDC on Solana──これらはすでに「Solanaを選んだ主力タイトル」として本番稼働に入っています。

これら3つは単なる“アプリ”ではなく、AI・通信・決済というリアルな産業領域に直結したプロジェクトです。ここが他チェーンのNFTやDeFi中心の発展とは大きく異なる点です。

2)次に重要なのは、この流れが連続するかどうか

Render や Helium は最初の例にすぎません。本当にSolanaが伸びるかどうかは、今後の2〜3年で「第2波の大型タイトル」が立て続けにSolanaを採用するかで決まります。

たとえば:

  • AI推論ネットワーク(Bittensor系の周辺)
  • 分散GPUクラスタ(io.net 以外の有力候補)
  • オンチェーン決済を使う大手スタートアップ
  • 高頻度の取引が前提になるDeFi(オプション、RFQ系)

このあたりがSolana版を出し始めると、高速チェーンを必要とする実需はさらにSolanaへ流れやすくなります。

3)逆に、この連続誘致が止まったときが“失速シナリオ”

Solanaの弱点は、競争が激化している点です。EVM互換を軸にしたL2群(Arbitrum、Base、Mantle)、高性能L1(Aptos、Sui)など、いわば“次のタイトルの奪い合い”はすでに始まっています。

もし第2波の大型タイトルが Solana 以外の選択肢に流れてしまった場合、ハード性能の高さだけでは投資家の評価を維持しきれません。「主力ソフトが出ないゲーム機」のような状態になるリスクがあります。

4)だから今は「最初の成功をどう積み上げるか」の勝負どころ

今のSolanaは、最初の成功(Render / Helium / USDC)を得て、いよいよ「連続誘致できるチェーン」への進化を試されている段階です。これはL1として非常に重要な局面で、ETHがDeFi/NFTを連続で引き寄せた2019〜2021年に近い構図です。

Solanaの将来性=「第2波・第3波の有力タイトルを、どれだけ自然に集められるか」 これが見えてくると、Solanaが数年後にどの位置にいるのか、投資家は一気に判断しやすくなります。

Solanaをポートフォリオでどう位置付けるか──“役割”で考え、“条件”で動く

Solanaは今、「主力ソフトがどれだけ続けて集まるか」で価値が大きく変わるフェーズに入っています。だからこそ投資家は、価格よりもSolanaが現在どのポジションに立っているのかを見極め、そのうえで“役割”と“条件”の両軸で向き合う必要があります。

1)Solanaの役割は“テーマ枠×サテライト”が基本線

Solanaは、長期のコア資産(BTC・ETH)のように「必ず積み上げる存在」ではありません。位置付けとしては、AI / DePIN / 高速処理系アプリの成長を取りに行くサテライト枠が最も現実的です。

理由は明確で、Solanaの評価は“ハード性能”より“どんな実需ソフトが乗るか”に強く依存するからです。Helium・Render・USDC決済など、すでに有力タイトルは存在しますが、今後の第2波・第3波の連続誘致が読めるまで、コアに据えるのはリスクが高いです。

2)“この条件が揃ったら” 追加しても良い──第2波タイトルの連続誘致

Solanaの追加買いを検討できるのは、次のような“成功の積み上げ”が確認できたときです。

  • Render / Helium に続く大型タイトルが参入(AI推論系、分散GPUクラスタ、通信インフラなど)
  • USDC決済のビジネスユースが増える(B2B送金やフリーランス支払いなど実需拡大)
  • DeFiの高頻度取引系でシェアを伸ばす(Jupiter や Jito の活発化)
  • Firedancerが本格稼働し、ネットワークの耐障害性・性能が次の段階へ

これらはすべて、Solanaが「単発の成功」ではなく、“主力ソフトを連続で引き寄せられるチェーン”へ進化している証拠になります。この流れが見えてきたとき、Solanaは中期で強気に扱えます。

3)“この状況なら” キャッシュ温存・様子見を続ける

逆に、次のような兆候が続く場合は、Solanaを焦って買う必要はありません。

  • EVM L2(Arbitrum / Base / Mantle)への大型タイトル偏重
  • Solana独自アプリ(Helium/Render以外)の伸び悩み
  • USDC実需の停滞(消費者アプリの普及が広がらない)
  • 高速処理が必須のユースケースが他チェーンに流れる

これらはSolanaが勝ちつつあった領域での失速を意味します。L1・L2は群雄割拠なので、ここが弱いならあえてリスクを取る必要はありません。

4)“このサインが出たら” 一旦リスクオフ──撤退ラインの明確化

Solanaの失速シナリオは、本人たちの技術力というより、「誘致競争で負け続ける」ところにあります。次のようなサインが出たら、一度距離を取る判断が合理的です。

  • 主力ソフトの誘致が止まり、既存タイトルも更新ペースが鈍化
  • Firedancerの遅延や、ネットワーク障害の再発
  • AI・DePINの実需がEVM側で固まってしまう
  • Solana特有の強み(高速+低コスト)が他チェーンに追い付かれる

これらはSolanaが「ゲーム機だがソフトが出ない」状態に近づくサインで、長期保有スタンスを見直すタイミングになります。

まとめると、Solanaは“サテライト枠で保有しながら、第2波タイトルの連続誘致が起きるか”を見る──これが最も合理的な投資スタンスになります。

Solanaの評価は“主力ソフトがどこまで積み上がるか”で決まる──投資家が追うべき視点

ここまで見てきたように、Solanaは「高速チェーン」という一言では語れない段階に入っています。真の評価軸は、ハード性能ではなく、“主力ソフトをどれだけ連続で引き寄せられるか”です。

Render、Helium、USDC決済という最初の成功は確かに強いです。しかし、Solanaの価値を大きく押し上げるのはこの最初の成功ではなく、第2波・第3波の成功が自然に積み上がる構造です。

つまりSolanaは今、L1としての基盤は整いながらも、まだ伸びしろが「外側の動き」によって決まるフェーズにいます。投資家が追うべきなのは価格ではなく、次の3つの変化です。

  • 1:主力タイトル(AI / DePIN / 高速処理系)が続けてSolana版を出すか
  • 2:USDC決済が、個人→法人へと着実に広がるか
  • 3:Firedancerの稼働で、ハード面の“上限”がさらに伸びるか

これらが揃ったとき、Solanaの立ち位置は「速いチェーン」から「実需を集められるチェーン」へと明確に変わります。その瞬間、SolanaはL1競争の中で別の評価帯に入ります。

一方、これらの変化が遅れる場合、Solanaは“完成したチェーン”として扱うよりも、テーマの成否を丁寧に見極めるべきサテライト枠に留めた方が合理的です。

まとめると、Solanaは“伸びる準備は整っているが、伸びるかどうかは誘致競争に左右されるチェーン”です。投資家としては、この“積み上がりのリズム”を静かに追うことが最もリターン効率が高いです。

Solanaの真価は、これから2〜3年で現れます。

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