Blast(BLAST)とは|利回り付きL2の特徴・将来性・投資評価

Blastは「仮想通貨版の預金口座」とも言えるLayer2です。ETHを預ければ年3〜4%、ステーブルコインなら年5%以上の利回りが自動でつき、銀行の利息やクレカのポイント還元に近い感覚でリターンを得られます。Blur創業者が率いるチームの実績と、短期間で急拡大したユーザー数・アプリ数がその成長力を裏付けています。数あるLayer2の中でも“利回り付き”という差別化を持つBlastの特徴・競合比較・リスクを整理し、投資判断に直結するポイントを解説します。

目次

総合評価と概要

評価スコア表

評価項目点数(5点満点)
技術力・独自性4
市場適合性・実需4
トークン経済健全性3
チーム・コミュニティ力4
成長戦略の実現可能性3
総合リスク評価3
総合点21 / 30

技術力・独自性

Blastは「Optimistic Rollup」という仕組みで動くLayer2です。これは複数の取引をまとめて処理することで、ガソリン代のような手数料を大幅に節約できる仕組みです。スーパーで10回会計する代わりに1回でまとめると安く速い──そのイメージに近いです。

さらにBlast独自の強みは「資産を移しただけで自動的に利息が増える」点です。まるで財布に入れっぱなしのお金が少しずつ増えていく感覚で、銀行預金やクレジットカードのポイント還元よりも高いリターンが期待できます。その裏側では、Ethereumのステーキングや、米国債(国が発行する借用証書)から得られる利息を活用しており、現実世界の収益源をブロックチェーンに直接つないでいる点が革新的です。

市場適合性・実需

Blastは公開から数か月でTVL(預かり資産総額)が16億ドル=約2兆円に達し、ユーザー数も100万人を突破しました。新興の銀行がわずかな期間で巨額の預金を集めたようなスピード感で、L2市場でも一気に上位に食い込んでいます。

その理由は「資産を移すだけで増える」という分かりやすさにあります。アプリを開かなくても利息が積み上がるので、まるでスマホを机に置いたままでもお金が勝手に働いてくれるような体験です。投資初心者でも直感的に理解できるメリットです。

開発者にとっても魅力は大きく、Blastではガス代の一部が収益として還元されます。これはアプリストアでダウンロード数に応じて収益が入る仕組みに似ており、ユーザーが増えるほど開発者の利益も増える構造が整っています。そのため新しいdAppが次々に参入し、エコシステム拡大の好循環を生んでいます。

トークン経済健全性

Blastの発行上限は1000億枚で、そのうち約45%がすでに市場に出ています。これは非常に大きな数字で、例えるなら「100人で食べるケーキを、すでに半分以上切り分けて配ってしまった」ような状態です。残りをどう配分するかで1人あたりの取り分=トークン価値が変わるため、インフレリスクには注意が必要です。

ただしBlastの特徴は、利回りが“ただのご褒美”ではなく、外部で実際に稼いだ収益を還元する点にあります。イメージとしては、プロジェクトがアルバイトで得た給料をみんなに分けているようなもので、根拠のない配布ではありません。一方で、序盤に報酬を出しすぎれば短期人気は高まっても、将来の価格上昇を抑える要因になるリスクもあります。供給量と実需のバランスがBlastの鍵です。

チーム・コミュニティ力

Blastの舵を取るのは、NFTマーケットプレイス「Blur」を立ち上げたPacmanです。Blurは短期間でOpenSeaを追い抜き、取引量No.1に躍り出た実績を持ちます。競争の激しいNFT市場で急成長を実現した経験は、L2分野でも信頼につながります。

資金面では、Paradigmなど世界有数のベンチャーキャピタルが出資しています。これは「プロが選んだ銘柄」であることを意味し、資金的な余裕だけでなく、失敗しにくい安心感を投資家に与えます。

さらにBlastはコミュニティの声を取り込む姿勢でも注目されています。XやDiscordでユーザーの意見を募り、新しい機能やdAppに反映する動きが見られます。単なる話題性にとどまらず「参加者と共に作るエコシステム」として育っている点が強みです。

成長戦略の実現可能性

Blastは「銀行に預ける感覚で資産が増える唯一のL2」として位置づけられます。投資経験が浅い人でも、口座にお金を入れておく感覚で仮想通貨を増やせる点は、他のL2にはないわかりやすい魅力です。

競合のArbitrumやOptimismは、すでに高速道路のように多くのアプリや利用先を整備しています。それに対してBlastは、その道中に「立ち寄るだけでポイントが貯まるサービスエリア」を作ったような存在です。走行ルート自体は競合と似ていますが、途中で得をする仕組みを持っていることで差別化しています。

将来の拡大余地も大きく、DeFiやNFTにとどまらず、スマホゲームや日常の支払い、モバイルアプリ内での利用といった“生活に溶け込むシーン”で展開される可能性があります。投資家だけでなく一般ユーザーが「普段使いできるBlast」を体験できるかどうかが、長期成長の分岐点となるでしょう。

総合リスク評価

Blastの利回りは、LidoやMakerDAOといった外部サービスから得られる収益に依存しています。これは家庭の電気が電力会社に依存しているのと同じで、もし停電が起きれば家全体が止まるように、元の仕組みに不具合があればBlastにも直接影響が及びます。

次に懸念されるのは規制です。利息のような仕組みは「証券」と見なされる可能性があり、その場合は株式と同じルールの下で取引制限や罰則の対象になる恐れがあります。特に米国や主要国で規制が強まれば、投資家の参加が一気に難しくなるリスクがあります。

さらに競合の存在も無視できません。ArbitrumやOptimismはすでに多くの利用者を獲得しており、まるで街に新しく巨大なショッピングモールができ、人がそちらに流れてしまうような状況です。Blastが「利回り」という独自の魅力だけで利用者を引き留められるかは、まだ見通しが立ちにくい部分です。

総合点の位置づけ

総合スコア21点は「投資先として十分魅力はあるが、全力で賭けるにはリスクが残る」水準です。技術や実需、創業者の実績は高得点ですが、トークン供給や規制の不確実性が評価を押し下げています。

イメージとしては、強力なエンジンを積んだバスに乗り込むようなものです。スピードも加速力も申し分ありませんが、燃料タンクがやや不安定で、乗客である投資家は「このまま最後まで走り切れるか」を常に気にする必要があります。

そのためBlastは、集中投資よりもポートフォリオの一部に組み込む形が現実的です。例えば全体資産の5〜10%を振り分けるといったイメージなら、リスクを抑えつつ独自の値動きからリターンを狙うことができます。他のL2とは一線を画す「利回り付きL2」という特徴を持つため、分散投資の中では存在感を発揮しやすいでしょう。

プロジェクト概要

創設背景と目的

Blastを生み出したのは、NFTマーケット「Blur」を立ち上げた創業者Pacman(Tieshun Roquerre)です。Blurは短期間でOpenSeaを追い抜き、取引量No.1に躍り出た実績があります。熾烈なNFT市場で勝ち抜いた経験を持つチームが、次に挑んだのが「銀行預金のように利回りがつくLayer2」でした。

その目的はシンプルで、仮想通貨に不慣れな人でも「資産を移すだけで自然に増える」体験を提供することです。これによりDeFiの利用ハードルを下げ、投資家だけでなく一般ユーザーにも広げていく狙いがあります。背景にはParadigmやStandard Cryptoなど一流VCの出資があり、初期から強力な資金基盤と信頼を得ています。

基礎データ(時価総額・供給量・提携など主要指標)

2025年8月時点でのBLASTトークン価格は約0.0026ドル(約0.4円)で、時価総額は約1億1,500万ドル(約180億円)。仮想通貨全体の中では400位台に位置します。総供給量1,000億枚のうち約45%がすでに市場に流通中です。Blastのエコシステム規模も急成長しており、TVL(預かり資産総額)は一時16億ドル(約2,500億円)を突破。ユーザー数は100万人超、dApp数は200以上に拡大しました。支援投資家にはParadigmやStandard Cryptoといった著名VCが名を連ねています。

Blastの技術と独自性|“利回り付きL2”を支える仕組み

Optimistic Rollupで速く安く、安全に

Blastは「Optimistic Rollup」という仕組みを使い、複数の取引をまとめて処理します。これはスーパーで10回レジに並ぶ代わりに1回で精算するようなもので、時間も手数料も節約できます。さらに最終的な取引記録はEthereumに書き込まれるため、改ざんされにくく、安全性も確保されています。

“預けるだけでお金が働く”自動利回り

Blast最大の魅力は「資産を移すだけで自動的に利息が増える」点です。ETHなら年3〜4%、ステーブルコインなら年5%以上のリターンが期待でき、銀行預金の金利(日本では年0.001%前後)とは桁違いです。まるでお金が寝ている間に働いてくれるような感覚で、初心者にも直感的に分かりやすい仕組みになっています。

利回りの原資はLidoのETHステーキングやMakerDAOの米国債運用といった「現実世界の金融収益」です。つまりBlastは“新しいトークンをばらまく”のではなく、“実際に稼いだ利息を分け合う”モデルであり、持続性の高い仕組みとして評価されています。

Blastの実需と採用状況|“預けるだけ”で広がる利用者層

地方銀行級の資産とメガアプリ並みのユーザー

Blastは公開から数か月でTVL(預かり資産総額)が16億ドル=約2,500億円に到達しました。これは地方銀行が抱える預金残高に匹敵する規模です。さらにユーザー数は100万人を超え、政令指定都市の人口規模に加え、人気スマホアプリのダウンロード数にも匹敵します。数字だけでなく「どのくらい使われているか」が直感で伝わる規模感にまで成長しています。

毎朝“勝手にお金が増える”体験

Blastの強みは、ユーザーに「難しいことをせずに資産が増える体験」を提供する点です。ETHやステーブルコインを移すだけで利息がつき、アプリを開かなくても残高が増えていきます。まるで毎朝スマホをチェックすると、昨日よりお金が少し増えている──そんな分かりやすい価値提案が、初心者や投資未経験者にも支持されています。

開発者にとっての“第二の収益源”

Blastでは、ユーザーが支払うガス代の一部がdApp開発者に還元されます。これはアプリストアのダウンロード収益や、YouTubeの広告収益モデルに近く「使われれば使われるほど収益が積み上がる」仕組みです。そのため新しいdAppが次々に参入し、利用者・開発者・プラットフォームが一緒に成長する好循環が生まれています。

競合比較とポジショニング|L2三強に挑むBlastの立ち位置

Arbitrum・Optimism・Baseとの違い

現在のL2市場は「三強」が主導しています。Arbitrumはユーザー数と取引量で圧倒的シェアを誇り、Optimismは実用アプリや提携で実績を積み重ねています。そしてBaseは、Coinbaseという大手取引所のブランド力を背景に急速に拡大中です。いずれも「高速道路を整備して渋滞を解消する」役割を担っています。

対してBlastは、その高速道路に「立ち寄るだけでポイントが貯まるサービスエリア」を作ったような存在です。ArbitrumやOptimismが「速さ・安さ」で勝負しているのに対し、Blastは「資産を置くだけで利回りがつく」という分かりやすい差別化ポイントを武器にしています。

Blastの強みと残された課題

Blastの優位性は、初心者でも理解しやすい「お金が勝手に増える体験」を提供できる点です。これは複雑なDeFi操作を避けたい層にとって大きな魅力であり、他のL2にはない導入のしやすさにつながります。

ただし課題も残ります。ArbitrumやOptimismがすでに数百のアプリや企業提携を抱えているのに対し、Blastのエコシステムはまだ立ち上げ段階です。例えるなら「魅力的な看板を掲げた新しい商店街だが、入っているお店はまだ少ない」状態です。利回りという強力な看板だけで人を集め続けられるのか、それとも新しい実需を増やして街を賑やかにできるのかが今後の焦点です。

トークン経済|“1000億枚の大通貨”をどう配るか

配分ルールはどうなっている?

BLASTトークンの総発行上限は1000億枚。そのうち約45%がすでに市場に出回っています。これは「国全体の通貨をすでに半分近く発行した」ような規模感です。残りを誰に、どのタイミングで配るかによって、1枚あたりの価値は大きく変わってきます。

インフレリスクとリターンの両立

供給量が増えすぎると、ケーキを薄く切り分けて味がなくなるように、1枚あたりの価値が希薄化してしまいます。ただしBlastは、ETHやステーブルコインから生まれる「利息」という裏付け収益をユーザーに還元しています。単なるトークンのばらまきではなく「実際に稼いだ利回りを分け合う」モデルのため、持続性の面ではプラス要素もあります。

発行スケジュールと投資家への意味

今後も追加発行は続くため、株式の追加発行と同じように短期的には価格が抑えられる可能性があります。しかし、利用者が増えエコシステムが成熟すれば、需要と供給のバランスが整い、長期的には安定した価値を生み出す余地があります。投資家にとっては「短期の値動きは荒れやすいが、中長期ではリターン源泉を持つ」銘柄として位置づけられます。

戦略と将来性|Blastはどこまで伸びるのか?

今後のロードマップ:利回りから“使える”へ

Blastは「利回り付きL2」という看板で一気に人を集めました。次の課題は、その集まった資産をどう実際の利用につなげるかです。今後はDeFiサービスの拡充に加え、NFTの売買やゲーム内通貨、さらにはモバイル決済といった日常に近い領域まで広げる構想が示されています。単なる「お金が増える場所」から「お金を使える場所」へ進化できるかが分岐点です。

成長戦略の仮説:ショッピングモール型の拡大

Blastは今のところ「利回りという大きな看板を掲げた新しいショッピングモール」のような存在です。看板に惹かれて人は集まりますが、まだ入っているお店は少ない状況です。今後テナント=dAppやサービスが増え、日常的に使える場面が広がれば、モール全体が賑わいを増すようにBlastの価値も安定的に高まるでしょう。

投資家にとっての意味:ハイリスク・ハイリターンの段階

投資家の視点から見ると、Blastはまだ「成長エンジンをかけ始めたばかり」の段階です。利回りという武器で初期の人を集めましたが、今後の実需拡大が成功するかどうかは未知数です。裏を返せば「ハイリスク・ハイリターン」のタイミングであり、初期に参加した投資家ほど大きな伸びしろを享受できる可能性があります。

リスク要因|利回りの裏に潜む落とし穴

市場・規制リスク:証券扱いで“入口が狭くなる”恐れ

Blastの利回りは魅力的ですが、その仕組みが各国の規制当局から「証券」と見なされるリスクがあります。もしそうなれば、株式や投資信託と同じ規制下に置かれ、誰でも簡単に取引できなくなる可能性があります。アプリからワンクリックで触れる手軽さが失われ、口座開設や書類提出が必要になると、ユーザー離れにつながりかねません。

技術・運営リスク:停電のように突然止まる可能性

Blastの利回りは、LidoのステーキングやMakerDAOの米国債運用といった外部サービスに依存しています。これは家庭の電気が電力会社に依存しているのと同じで、もし電力会社に障害が起きれば、突然停電して真っ暗になるようにBlast全体も止まるリスクがあります。さらに、Optimistic Rollupという仕組み自体にもセキュリティ課題が残されており、思わぬ不具合が信頼を揺るがす恐れもあります。

競合リスク:お客が“便利な隣町”に流れる可能性

Blastは利回りという強力な看板で人を集めていますが、エコシステムの規模ではArbitrumやOptimismにまだ劣ります。例えるなら「新しくできた商店街に看板目当てで人が来ている」状態です。しかし隣町に大型ショッピングモールができれば、人々はより便利な方へ流れてしまうかもしれません。Blastが持続的に利用者を引き留められるかは、今後の実需拡大にかかっています。

総評|Blastは“利回り付きL2”として買うべきか?

投資家視点の評価

Blastは「資産を預けるだけで増える」という直感的な仕組みで急成長したL2です。技術力やチームの実績も十分で、短期間でユーザー数100万人・TVL16億ドルを達成しました。投資家にとっては“自動利回り”という唯一無二の特徴が強みです。

ただし、利回りの原資が外部依存である点や規制リスク、競合の存在は無視できません。つまり、Blastは「メイン口座にするには不安が残るが、サブ口座として持つと面白い」タイプの銘柄です。リターンは大きい一方で、想定外のリスクが表面化すれば価値が揺らぐ可能性もあります。

総合的な見解

Blastは、銀行預金のような安心感と仮想通貨の高い成長性を掛け合わせた“利回り付きL2”という新しいカテゴリーを切り開きました。現時点のスコアは30点満点中21点──合格点には達しているが、満点には遠い水準です。例えるなら、強力なエンジンを積んだ車だが燃料タンクには不安がある状態です。スピードは出せるが、長距離を走り切れるかは未知数です。

そのため投資戦略としては、ポートフォリオの5〜10%程度を割り当てる“リスク分散枠”としての保有が現実的です。これは「万一トラブルがあっても資産全体への影響を抑えつつ、成功した場合には十分なリターンを得られる」バランスだからです。総じて、Blastはリスクを理解した上でポートフォリオにスパイスを加えたい投資家に向くプロジェクトだと言えます。